花持ちの不思議・切り花が咲くメカニズム - 北九州市小倉の花屋 フローラルポート[Floral Port]

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花持ちの不思議・切り花が咲くメカニズム

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2021.03.16

小倉北区の勝山公園前にあるフラワー&バルーンギフト専門店 フローラルポートの福田智雪です。

 

花持ちの不思議第2弾。

昨日のブログで産地や、生産者によって同じ花でも花持ちが違うことはご理解頂けたんじゃないかと・・。

 

花持ちが悪い理由は、花が咲ききる前に萎れてしまうこと。

 

花が萎れる原因は、2つあって一つは切り花の寿命。

地面に根がついた状態で咲いてる花も当然寿命があります。

カットして切り花にしても寿命はあるわけでこれはどうしようもないし、仕方ない。

逆に言うと、根がついた状態と同じくらいの間花を咲かせてると花持ちが良いということになります。

当然花の種類でも花持ちは違うので一概に何日間というのは乱暴です。

ザックリ言うと、「可憐な野の花」のような草花の方が花持ちは悪いようです。

 

もう一つの理由は花が咲ききる前に何らかの原因で花が萎れてしまうこと。

これがいわゆる花持ちが悪いと皆さんが感じる所。

 

コレにも原因は色々あります。

①病気や害虫によるもの。

葉に病気が入ったり害虫がいたりすると花が咲く前に萎れます。

仕入れたばかりの花だと分からないことも多いので、この観点からも花屋さん選びや、我々は生産者選びが大切になってきます。

 

②茎の中の導管が詰まり花まで水が行き渡らなくなること。

花の茎や葉には人間で言う血管のような細い管が通っていてその管の中を水や養分が通って花まで届き、花はそれらをエネルギー源として花を咲かせます。

この管が何らかの原因で詰まってしまうと花まで水や栄養が届かなくなり萎れてしまいます。

土の中に根があるときは根がフィルターの役目をしてくれるので酷い病気や根が虫に食べられなければ花先まで水や養分は行き届きます。

切り花にすると花瓶の中の水にバクテリアが発生しやすくなります。

水の流れのない溜池が夏場にイヤな臭いがするのもバクテリアが原因だったりします。

見た目は綺麗でも溜め水はバクテリアが発生しやすい。

そういう意味では井戸水より殺菌された水道水の方が殺菌されているので清潔でバクテリアの発生率は低い。

昔の人が「漂白剤を少し花瓶の水に垂らすと花持ちが良くなる」とか「花瓶に10円玉を入れると花持ちが良くなる」なんて言いましたが、どちらも抗菌作用があるのであながち間違いではありません。

が、研究が進みそれだけではダメなことが分かってきました。

先に進みます。

 

③花に十分な栄養が行き届いていない。

銅管が詰まっていなくて水が花先まで届いたとしても花が咲くのにはエネルギーが要ります。

綺麗な色を出すのもエネルギーが必要。

このエネルギーって人間と同じ糖分です。

マラソンを走るときカーボローディングと言って数日前から炭水化物を多めに食べたりします。

これは炭水化物が体内で糖分に変化することを期待したもの。

体内に糖分を貯め42.195㎞走りきる前にエネルギー切れを防ぐ一つの手法です。

つぼみが堅いほど咲ききるまでに時間とエネルギーが必要なわけで、マラソンと同じく長い間糖分を供給してあげないといけません。

当店でお渡したり販売している切花栄養剤は糖分と水のバクテリアを抑制する抗菌剤、それと植物の油分が茎の切り口の導管部分で水をはじいて水と接触するのを妨がないように洗剤などにも入っている「界面活性剤」と言うものが入っています。

よくお客様から「花持ちを良くするのは何日に1回水を変えた方が良い?」とか「切花栄養剤入れたら水は変えなくて良いの?」と言うご質問をいただきます。

水に糖を入れると入れないものよりバクテリアは発生しやすくなります。

と、いって抗菌剤だけでは花にエネルギーが行き渡らない。

切花栄養剤ってその相反するものを両方入れて、なるべくバクテリアを発生させないで、なるべく花に栄養が届くように配合されています。

メーカーによってその配分も違うし、エネルギーを沢山使うバラ専用栄養剤は糖分比率が多く入っています。

因って、先の質問の答えは「切花栄養剤を入れた綺麗な水を、清潔な花瓶になるべくこまめに入れ替えた方が良い」ということになります。

 

余談ですが、「花瓶の水を入れ替えるとき花の茎を少し切り戻すと良い」と聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

これはケースバイケース。

もし切り口の導管にバクテリアが付着していたら清潔な鋏やナイフで切り戻して付着しているところを切り離した方が良い。

逆に順調に水を吸い上げている花だと導管の細胞が活性化されているわけで、その勢いをむざむざ切り捨てることはない。

さっと水洗いするくらいで新しい水に入れてあげたほうが良い場合もある。

その辺は季節や環境にもよるので「慣れ」と「コツ」が必要でしょう。

切り花の細胞は劣化していきますので吸い上げる力も劣化していきます。

切れば良いというものではありません。

花の種類によってその吸い上げる力が強い花、弱い花があります。

それを花屋さんでは「水が上がりやすい花」「上がりにくい花」なんて言います。

今の時期だと「クリスマスローズ」これからの時期だと「アジサイ」などはチョットコツがいる水揚げが難しい花です。

あっ、茎を切り戻すとき水中で茎をカットする「水切り」がいいと聞いたこともある方もいらっしゃるでしょう。

悪くはないのですが、やるなら水中で水をカットして、その後切り口を空気に触れさせないこと。

花瓶の中でカットして、切り落とした茎を拾い上げる・・と言えばご理解頂けるでしょうか?

ただ、そこまでやる必要はなく「空切り」と言って空中で①㎝くらい切り戻し、すぐに栄養剤入りの水にいけてあげれば充分です。

界面活性剤も入ってますから・・。

 

切花栄養剤をふくむ花の処理については書き切れない部分がありますので、そこを次回掘り下げていきます。

本当はそこまで書く予定でしたが、言葉にすると思ったより長くなってしまいました。。。

 

 

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